猿飛佐助と霧隠才蔵の得意技は?|岩本照・中川大志が演じる『真田十勇士』の二大忍者 ─ 甲賀流の猿飛びと伊賀流の霧隠れ、実在の忍びの技

夕暮れの山里に並ぶ忍びや豪傑たちの一団(イメージイラスト)
この記事のポイント
  • 猿飛佐助は甲賀流、霧隠才蔵は伊賀流の忍者として、講談や立川文庫で好敵手として描かれてきました
  • 佐助の得意技は木から木へ飛び移る身軽さ(猿飛び)、才蔵の得意技は霧を起こして姿を消す霧隠れの術です
  • 実在の甲賀・伊賀の忍びは、夜襲や情報集めなど現実的な技を得意とし、その技は忍術書『万川集海』にまとめられました

真田十勇士の中でもとくに人気のある二人の忍者が、猿飛佐助と霧隠才蔵です。ドラマ『真田十勇士 SHADOWS OF THE TEN NINJA』第1話でも、岩本照さんが演じる佐助と、中川大志さんが演じる才蔵が九度山で激しくぶつかり合い、互角の戦いを見せました。二人はそれぞれ、どんな得意技を持つ忍者として描かれてきたのでしょうか。ここでは、講談や立川文庫で語られてきた二人の忍術と、そのもとになった甲賀・伊賀の忍びの実像、そしてドラマでの戦い方を紹介します。

目次

猿飛佐助と霧隠才蔵の得意技を比べると

まずは二人のちがいを表で比べてみます。講談や立川文庫では、甲賀流の佐助と伊賀流の才蔵は、張り合いながらも力を合わせる好敵手として描かれてきました。

  猿飛佐助 霧隠才蔵
流派 甲賀流 伊賀流
師匠 戸沢白雲斎 百地三太夫
いちばんの得意技 木から木へ飛び移る身軽さ(猿飛び) 霧を起こして姿を消す霧隠れの術
ほかの術 姿を消す術、分身の術、遠くの物音を聞き分ける耳 幻術、変装、気配を消して敵陣に忍び込む術
人柄 明るく陽気で、いたずら好き 冷静で口数が少なく、知略にすぐれる
ドラマの配役 岩本照 中川大志

表の内容は、大正時代に人気を集めた立川文庫などの読み物で語られてきた姿をまとめたもので、物語によって細かな設定は異なります。

猿飛佐助の得意技 ─ 猿のように木を飛び移る身軽さ

佐助の名前にもなっている「猿飛」は、猿のように木から木へと飛び移る身軽さを表しています。立川文庫の『猿飛佐助』では、信濃の山中で猿と遊びながら育った少年の佐助が、甲賀流の忍術の達人・戸沢白雲斎に見いだされ、3年にわたる厳しい修行の末に、一度に何間も跳び上がり、木の枝から枝へ風のように飛び移る技を身につけたと語られます。

佐助はこのほかにも、印を結んで姿を消す術や、自分の分身を何人も出して敵を惑わす術を使い、遠くの物音を聞き分けるほど耳がよいとも描かれました。こうした術を使って徳川方の城や陣に忍び込み、家康の家臣たちをからかって逃げ回るという痛快な話が、大正時代の少年たちの心をつかみました。明るく陽気で、ちょっといたずら好きな性格も、佐助の人気の理由の一つです。佐助の生涯については猿飛佐助とはで紹介しています。

霧隠才蔵の得意技 ─ 霧を起こして姿を消す術

才蔵の名前の「霧隠」は、その名のとおり、霧を起こして自分の姿を隠してしまう術を表しています。物語の才蔵は、伊賀忍者の頭領として知られる百地三太夫に忍術を学んだ伊賀流の使い手で、霧の中に姿を消したかと思うと、思いもよらない場所から現れて敵を討つという戦い方を得意としました。

才蔵はまた、相手の目をくらます幻術や、別人になりすます変装の術にもすぐれ、気配を消して敵陣の奥深くまで入り込む、静かで冷静な忍者として描かれます。陽気な佐助とは対照的に、口数が少なく知略にすぐれた人物とされることが多く、この性格のちがいが、二人のかけ合いを面白くしてきました。物語の中では、大盗賊の石川五右衛門と兄弟弟子だったとも語られます。才蔵については霧隠才蔵とはで紹介しています。

甲賀流と伊賀流は本当にあったのか

佐助の甲賀流と才蔵の伊賀流は、物語の上での色分けですが、そのもとには実在した二つの土地があります。甲賀は近江国の南部、伊賀はその南東の隣国で、どちらも山がちな土地に小さな武士たちが寄り合って暮らし、甲賀では「甲賀郡中惣」、伊賀では「伊賀惣国一揆」と呼ばれる話し合いの仕組みで国を治めていました。両者は国境をはさんで隣り合い、ときには助け合う関係でもありました。

こうした土地の武士たちは、地の利を生かした夜襲や待ち伏せ、敵地の様子を探る情報集め、敵の城に火を放つ攪乱などを得意とし、戦国大名に雇われて活躍しました。江戸時代の延宝4年(1676年)には、伊賀・甲賀の忍びの技をまとめた忍術書『万川集海(ばんせんしゅうかい)』が書かれていて、そこには塀や堀を越える道具や、火薬の使い方、変装や情報の伝え方などがくわしく記されています。実際の忍びの技は、霧を起こしたり分身したりする魔法のようなものではなく、こうした現実的な工夫の積み重ねでした。伊賀の忍びと伊賀の歴史については柘植清弘とはでも紹介しています。

なぜ二人の術は「魔法」のようになったのか

佐助や才蔵の忍術が、姿を消したり分身したりする不思議な術として描かれるようになったのは、大正時代の立川文庫からです。少年向けの読み物として、痛快でわかりやすい活躍が求められたことに加え、同じころに始まった忍術映画では、フィルムの編集で人を消したり増やしたりする撮影の工夫が人気を呼び、「忍術=不思議な術」というイメージが一気に広まりました。現実の忍びとはかけ離れていますが、この自由な想像力が、のちの漫画やアニメの忍者たちにまで受け継がれていきます。

ドラマ『真田十勇士』での二人の戦い方

ドラマの佐助(岩本照)は、「東国一の空飛ぶ忍」を名乗り、木々を飛び移る身のこなしや、型にとらわれない自由な戦い方を得意としています。第1話では、師の白雲斎を襲った服部半蔵(中村獅童)に分身の術で立ち向かう場面も描かれました。一方、才蔵(中川大志)は真田家に仕える天才忍者で、無駄のない冷静な戦いぶりに加え、第1話では霧隠の術を見せ、佐助と互角に渡り合いました。講談以来の「身軽な佐助」と「霧の才蔵」という持ち味を、ドラマがどのようにアクションとして見せていくのかも見どころです。ほかの配役は『真田十勇士』キャスト・相関図一覧にまとめています。

よくある疑問

Q. 猿飛佐助の得意技は何ですか?
A. 講談や立川文庫では、猿のように木から木へ飛び移る身軽さがいちばんの得意技とされ、姿を消す術や分身の術も使います。

Q. 霧隠才蔵の得意技は何ですか?
A. 名前のとおり、霧を起こして姿を隠す霧隠れの術を得意とし、幻術や変装にもすぐれていたとされます。

Q. 佐助と才蔵はどちらが強いのですか?
A. 物語では甲賀流と伊賀流の好敵手として描かれ、どちらが上と決まっているわけではありません。ドラマ第1話の対決も互角でした。

まとめ

猿飛佐助は木から木へ飛び移る身軽さ、霧隠才蔵は霧を起こして姿を消す術を得意とし、明るい佐助と冷静な才蔵という対照的な二人は、甲賀流と伊賀流の好敵手として語り継がれてきました。そのもとには、甲賀と伊賀で実際に活躍した忍びたちの姿があり、立川文庫や忍術映画が二人を不思議な術の使い手へと育てていきました。

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