佐々成政とは|『豊臣兄弟!』で白洲迅が演じる黒母衣衆筆頭の生涯 ─ 越中の国主、秀吉に二度逆らい、肥後で切腹するまで

真冬の北アルプスを越える佐々成政の一行のイメージイラスト

『豊臣兄弟!』で白洲迅が演じる佐々成政は、信長の精鋭・黒母衣衆の筆頭として序盤から登場してきた武将です。11月1日放送の第42回「北野大茶湯」では、成政が治める肥後で大きな一揆が起こり、物語は成政の最期へと向かいます。信長に重く用いられて越中一国の主となり、秀吉には二度にわたって逆らいながら許され、それでも最後は腹を切らされた成政とはどんな人物だったのか、生涯をたどります。

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尾張・比良城の出身、信長の黒母衣衆筆頭へ

成政は尾張の比良城(いまの名古屋市西区)を本拠とする佐々氏の生まれで、生年は天文5年(1536)、天文8年(1539)など諸説あります。兄たちが相次いで戦で命を落としたため家を継ぎ、信長の馬廻として仕え、選び抜かれた親衛隊である黒母衣衆の筆頭に抜擢されました。赤母衣衆にいた前田利家とは同じ尾張出身で年も近く、若いころから競い合った間柄です。

天正3年(1575)の長篠の戦いでは、前田利家らとともに鉄砲隊の指揮を任されたことで知られ、同じ年、越前を平定した柴田勝家のもとに利家・不破光治とともに付けられ、「府中三人衆」として北陸攻めの一翼を担いました。

越中一国の主となる

北陸での功績が認められ、成政は天正9年(1581)ごろには越中一国を任され、富山城を拠点に上杉氏と向き合います。ところが翌天正10年(1582)、本能寺の変で信長が倒れると状況は一変し、成政は上杉氏への備えから動けず、清須会議のあとは主君筋にあたる勝家の側に立ちました。賤ヶ岳の戦いで勝家が敗れると、成政は娘を人質に差し出して秀吉に従い、越中を保つことができています。

秀吉への二度目の反抗と「さらさら越え」

天正12年(1584)、家康と織田信雄が秀吉と戦った小牧・長久手の戦いが起こると、成政はふたたび秀吉に背いて家康方につき、秀吉方の前田利家が守る能登の末森城を攻めますが、落とせずに退きます。秀吉と家康が和睦してしまうと、成政は家康に戦いの続行を説くため、真冬の北アルプスを越えて浜松へ向かいました。これが有名な「さらさら越え」ですが、家康は動かず、成政は孤立します。

天正13年(1585)、秀吉は大軍を率いて越中へ攻め込み、成政は剃髪して降伏しました。越中の大部分は取り上げられましたが、命は助けられ、その後は秀吉の御伽衆として大坂で暮らすことになります。二度も逆らった相手を許して身近に置くところに、秀吉の懐の深さと計算の両方が見えます。

肥後の国主へ、そして国人一揆

天正15年(1587)の九州攻めで成政は秀吉に従い、島津氏の降伏後、肥後一国を与えられました。ところが肥後は、小さな領地を持つ国人たちがひしめく難しい国で、着任してまもなく成政が検地を進めようとすると、隈部親永をはじめとする国人たちが反発して一斉に蜂起します。これが肥後国人一揆で、ちょうど京で北野大茶湯が開かれたのと同じ天正15年の秋のことでした。成政だけでは抑えきれず、一揆は周辺の大名が援軍を送ってようやく鎮められました。

尼崎での最期

一揆の責任を問われた成政は、弁明のために大坂へ向かいますが、秀吉は会おうとせず、天正16年(1588)閏5月、摂津尼崎の法園寺で切腹を命じられました。検地は秀吉の方針でもあり、国人の所領を当面保証せよという指示に成政が背いたからとも、一揆を招いた国主として見せしめにされたともいわれていて、その評価はいまも分かれています。成政のあとの肥後は、北半国を加藤清正、南半国を小西行長が治めることになりました。

成政といえば、側室の早百合を疑って斬ったために呪われたという「黒百合伝説」も有名ですが、これは江戸時代以降に広まった話で、史実とは考えられていません。

『豊臣兄弟!』の成政に注目

ドラマでは信長の家臣として小一郎や藤吉郎と同じ時代を駆け抜けてきた成政が、今度は天下人となった秀吉の家臣として、一揆という大きな試練に向き合います。第42回で一揆の知らせが届き、第43回で最期が描かれるとみられるので、秀長が成政のためにどう動くのかも見どころになりそうです。

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