- 和賀・稗貫一揆は、天正18年(1590)10月、陸奥の和賀郡・稗貫郡で、奥州仕置で取りつぶされた和賀氏・稗貫氏の旧臣と百姓たちが立ち上がった一揆です
- 一揆勢は、豊臣方が守る鳥谷ヶ崎城(のちの花巻城)を囲みました。南部信直が救援に向かい、いったんは囲みが解かれます
- 翌天正19年、一揆はふたたび起こり、九戸政実の乱とあわせて、秀次を総大将とする再仕置の軍によって鎮められました
- 鳥谷ヶ崎城は南部家のものとなり、花巻城と名を改めます。いまの花巻市の城下町は、この一揆のあとに始まりました
宮沢賢治のふるさととして知られる岩手県の花巻。その町の中心には、かつて花巻城という城がありました。この城が「花巻」と呼ばれるようになったのは、天正18年(1590)に起きた一揆のあとのことです。和賀・稗貫一揆。奥州仕置のあとに東北のあちこちで起きた一揆のひとつで、花巻の歴史の出発点ともいえるできごとでした。この記事では、花巻城の写真とともに、一揆をたどります(奥州仕置とは)。

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取りつぶされた和賀氏と稗貫氏
和賀氏と稗貫氏は、北上川の中ほど、いまの北上市から花巻市のあたりを治めてきた国人でした。どちらも大きな大名ではありませんでしたが、何代にもわたってその土地に根を張っていました。
天正18年、小田原攻めに参陣しなかったことをとがめられ、両家は奥州仕置で領地を取り上げられます。和賀・稗貫の地は豊臣の直轄地とされ、浅野長吉の家臣が鳥谷ヶ崎城に入って治めることになりました。
鳥谷ヶ崎城を囲む
天正18年10月、豊臣の軍勢が引き上げると、和賀義忠と稗貫広忠は旧臣と百姓たちを集めて立ち上がりました。新しい支配のもとで進められた検地や年貢の取り立てに、土地の人びとの不満がたまっていたのです。一揆勢は鳥谷ヶ崎城を囲み、城を守る浅野家の兵は苦しい戦いを強いられました。
救援に向かったのが、南部信直でした。信直は雪の中を出陣し、城の囲みを解いて守備の兵を助け出したといわれます。同じころ、南の葛西・大崎の地でも大きな一揆が起きていました(葛西大崎一揆とは)。

| 時期 | できごと |
|---|---|
| 天正18年(1590)8月 | 奥州仕置で和賀氏・稗貫氏が取りつぶされる |
| 天正18年10月 | 和賀・稗貫一揆が起こる。鳥谷ヶ崎城が囲まれる |
| 天正18年冬 | 南部信直が救援し、囲みが解かれる |
| 天正19年(1591) | 一揆がふたたび起こる。再仕置の軍が奥州へ |
| 天正19年秋 | 九戸政実の乱とともに一揆が鎮められる |
| 文禄元年(1592)ごろ | 鳥谷ヶ崎城が南部家のものとなり、花巻城と改める |
天正19年の再蜂起と鎮圧
一揆は一度では終わりませんでした。天正19年(1591)、和賀・稗貫の人びとはふたたび立ち上がります。ちょうどこの年、南部家の一門・九戸政実も兵を挙げ、奥州の北は再び大きく揺れていました(九戸政実の乱とは)。
秀吉は秀次を総大将とする再仕置の軍を送り、九戸の乱とあわせて和賀・稗貫の一揆も鎮めました。和賀義忠は逃れる途中で討たれたと伝わり、和賀・稗貫の両家は、ここで国人としての歴史を終えます。
花巻城の誕生
一揆が鎮まったあと、和賀・稗貫の地は南部信直に与えられました。鳥谷ヶ崎城には南部家の重臣が入り、城の名は花巻城と改められます。花巻の城下町は、ここから整えられていきました。
ところが、和賀家の物語はここで終わりません。関ヶ原の戦いの年、和賀義忠の子・忠親が旧領回復をめざして再び兵を挙げます。岩崎一揆と呼ばれるこの戦いの裏には、伊達政宗の影があったといわれています。

よくある質問
Q. 和賀・稗貫一揆はいつ起きましたか?
A. 天正18年(1590)10月に起き、天正19年にふたたび起こって鎮められました。
Q. どこで起きましたか?
A. 陸奥の和賀郡・稗貫郡、いまの岩手県北上市・花巻市のあたりです。
Q. なぜ一揆が起きたのですか?
A. 奥州仕置で取りつぶされた和賀氏・稗貫氏の旧臣と百姓が、新しい支配に反発したためです。
Q. 花巻城はいつからそう呼ばれましたか?
A. 一揆のあと南部家のものとなり、鳥谷ヶ崎城から花巻城と改められました。
まとめ
和賀・稗貫一揆は、奥州仕置で領地を失った和賀氏・稗貫氏の旧臣と百姓たちが、鳥谷ヶ崎城を囲んだ国人一揆でした。一揆は南部信直の救援と、天正19年の再仕置によって鎮められ、和賀・稗貫の地は南部家のものとなります。鳥谷ヶ崎城は花巻城と名を改め、花巻の町の歴史がここから始まりました。
参考:小林清治『奥羽仕置と豊臣政権』吉川弘文館/花巻市「花巻城跡」案内
